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Rice menu NAVI アスリートの日々に
寄り添うおコメ、
カルローズ

橋本玲子先生 /公認スポーツ栄養士

2024年10月15日
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ラグビーリーグワン・埼玉パナソニックワイルドナイツ(2005年~現在)ほか、錚々たるトップアスリートたちのコンディション管理を「食と栄養面」からサポートする橋本玲子先生。
日本におけるこの分野のパイオニア的存在です。ジュニア世代と保護者に向けたスポーツ食講座を精力的に行うことでも知られています。おコメは運動のエネルギー源として欠かせない食品の一つであるという観点から、プロジェクト「▶スポーツ栄養とカルローズ」でご協力いただいている橋本先生に、アスリートの食におけるおコメ料理の可能性について伺いました。

“公認スポーツ栄養士”

公認スポーツ栄養士

アスリート弁当 栄養監修:橋本玲子

「米国では少なくとも、30~40年前からアスリートのコンディションを食と栄養面で支える職業が存在していたと思います」
そう語るのは、管理栄養士・公認スポーツ栄養士の橋本玲子先生です。30年前の日本では、栄養士・管理栄養士の一般的な仕事といえば、学校給食や病院、社会福祉施設などの現場での業務が中心でした。
「米国のスポーツ栄養士が書いた本に感銘を受け、独学で勉強する中で、日本のアスリートにも栄養や食事の知識が必要となると確信しました。思い立ったが吉日。単身、プロサッカーチームにスポーツ栄養士として営業してまわったのです。怖いもの知らずでした(笑)」

今や、アスリートのパフォーマンスと切っても切り離すことのできないものとして捉えられる「食」。グローバルで活躍する日本人アスリートが増えるに従い、スポーツ栄養士にもスポットが当たることも多くなりました。一見、華やかな印象もありますが、栄養学的な知識や経験があるだけでは務まらない、タフでエネルギーがいる仕事なのだとか。
「これまで、ラグビーやサッカーチームをサポートしていますが、在籍する選手30~50名の考え方や課題は個々人で千差万別。栄養士として、一人一人と地道に向き合い栄養管理、食事相談などを行います。どんな仕事にも共通することかと思いますが、コミュニケーションが大事です。もちろん、本質的に選手と同じレベルの情熱や目的意識を持ち合せていることは大前提。たまに、これってスポーツ栄養士の仕事なの?と思うこともあります(笑)」

アスリートとおコメの密接な関係

橋本先生は、アスリートの食事は、〈コメ + 肉魚卵、大豆/大豆製品 + 野菜 + 果物 + 牛乳/乳製品〉の組み合わせが基本だと言います。これを朝、昼、晩と毎日繰り返して、しっかりとした身体を作っていく。低脂肪、高たんぱく質でビタミン、ミネラル、食物繊維が豊富な日本食の献立は、特に有効なのだとか。
「トップレベルで長く活躍する選手は皆、この基本を十分に理解した上で、日々トレーニングの強度やコンディションに合わせて食事の内容を調整しています」
この基本ができないと、けが、風邪、夏バテなどが起こりやすくなり、パフォーマンス維持が難しいそう。コメを中心にとした食事の継続がコンディション維持の土台というわけです。
最近では、サプリなどの補助食品を独自に取り入れるなど研究熱心なアスリートも多い。

「アスリートの間でも、糖質制限が流行ったことがあります。ある日、4,000~5,000kcal/日も消費するラグビー選手が、おコメを控えると言い出した。余分な脂肪を落としたいと。結果、体脂肪は減り動きにキレが出てきたとのことでしたが、シーズン後半には疲れが溜まり、ベストパフォーマンスを発揮できませんでした。おコメというガソリンがなければ、そうなるのは当たり前なのです」
糖質のフォーカスされがちなおコメですが、たんぱく質が摂れることも知ってほしい、と橋本先生。
「ご飯100g当たりに含まれるたんぱく質量は2.0g。男性アスリートであれば、毎食300g程度を食べるので少なくとも1食当たり6g程度(ゆで卵1個分)のたんぱく質を摂れることになります」

コメをいかに飽きずに食べてもらうか
アスリートの日々に寄り添うカルローズ

カルローズ入りコーンスープ
カルローズ入りコーンスープ

橋本先生とカルローズの出会いは、米国・オレゴンに家族で住んでいた高校時代。
「日本から持参した炊飯器でほぼ毎食普通に炊いて。匂いが少なく、当時は日本産のコメと同じような感覚で食べていました。ちょっとパラリとしていてぷちっとした食感が楽しかった」

コメをいかに飽きずに食べてもらうかがスポーツ栄養士の大きな使命のひとつ――。橋本先生は、カルローズを積極的に取り入れたいと言います。
「アスリートにとって、食事もトレーニングの一環です。基本の組み合わせ〈コメ + 肉魚卵、大豆/大豆製品 + 野菜 + 果物 + 牛乳/乳製品〉も、いかにバリエーションを工夫してもどうしても飽きてしまう、たまには違うものが食べたくなることがあります。疲労が蓄積すると食欲が落ちてしまうときも。魚をメインとした定食スタイルの場合、魚の骨を取るのも面倒になり、骨を取る間にお腹がいっぱいになってしまう、という具合です。さらに、最近の若手アスリートは情報感度も高く目新しいメニューを欲しがります」
橋本先生は、そんなときカルローズを使いたくさんの具材と共にライスサラダ、チャーハン、ライススープ、ボウルメニューなどを提供するのがおすすめと言います。カルローズは粘りが少なく軽い食感なので、さらさらっと食べられるので喜ばれるのだとか。もちろん、色どりや盛り付けも気を遣います。

「現代人は皆、時間に追われています。それはアスリートも同様。合宿所でトレーニング後、自炊をする選手も多いです。カルローズは事前の浸水の必要もなく、さっと手早くワンディッシュメニューを作りたいとときにぴったり。また水加減を多くしてもベタつかず調理の失敗も少ないのでは。匂いにクセがないのもいろいろな料理に使用しやすいポイントですね」

時代の要請に応えるグローバルフード

炊飯器で作るケイジャンチキン
炊飯器で作るケイジャンチキン

橋本先生がサポートするスポーツチームは様々な国籍の選手で構成されています。皆、母国の食に強い思い入れがあり、たまにメニューとして提供するととても喜ばれるそう。今後日本ではスポーツの世界に限らず、少子高齢化を背景に外国からの流入がさらに多くなっていくと言われています。多様な文化・習慣や主義への対応する意識を高めることが必要でしょう。また、記憶に新しいパリ五輪は、大会期間中のCO2排出量を抑えることを目標に、選手村で振る舞われる食材の50%はプラントベースフードを採用するというプランが設定されました。ダイバーシティ。サステナビリティ――。多様なニーズに応え、また地球環境を意識しつつアスリートに最適な食生活を提案することは現代に生きるスポーツ栄養士の真骨頂です。
「コメは植物由来のたんぱく源としても期待できます。カルローズは、アジア料理から地中海料理、西欧料理まで、多様な料理やレシピを受け止める。時代の要請に応える食材だと思います」

〈構成・文:鈴木貴亮〉
橋本玲子先生

Profile
株式会社Food Connection 代表取締役 管理栄養士/公認スポーツ栄養士 橋本玲子

埼玉パナソニックワイルドナイツ、横浜F・マリノス等、20 年以上にわたりトップアスリートの栄養サポートを担当。ラグビーW杯2019では、組織委員会から委託を受け参加チームのメニューコーディネートを担当。近年では、地方自治体からの依頼で運動部活動を通じた食育や、企業で働く方達の栄養セミナー、健康に気遣う中⾼年向けの個別栄養サポートなどにも⼒を⼊れている。