手作りの喜びを大切にしたい
- 弁護士を志望されていたとうかがいました。
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大学を卒業後、弁護士を目指して勉強していました。なかなか試験に受からず、実家にも居づらくなって、本を担いで、三軒茶屋(世田谷区)に部屋を借りたんです。ある日、偶然入った手作りのハンバーガー店が、あまりにも美味しくて。これは、勉強している自分のまかないにいい! と思い、アルバイトとして働いたのが、人生の転機になりました。
- そのお店で10年。飲食業界のノウハウを学ばれた。
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そこは個人のオーナー店でした。とても真摯に仕事に取り組まれていました。自分は接客をしつつ、調理も手伝うという役割でした。調理では、包丁の研ぎ方、切り方から教わりました。あるとき、テレビに紹介され、あれよあれよという間に、行列のできる有名店になっていった。
そこから新規店の立ち上げや、新人教育、広報や経理も経験しました。仕入れの仕方を覚えたのも、この時期です。自分の力で生きるということが、試験勉強よりも楽しくなってしまいました。多くのものを学ばせていただいて、今でも感謝しています。
- ご自身が感じた手作りの魅力は、フリホーレスでも生かされていますね。
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自前で食材を切って、焼いて、また煮込んで、味付けをする。お客さまが食べるものに対して、無理な合理化はしない。それを貫きたい。
お客さまが「手作りのものを食べたい!」と思ったときに、(フリホーレスのブリトーが)選ばれるものでありたい。経営的な視点に立つと、セントラルキッチン方式は、経費が抑えられて合理的です。しかし一方で、働く人たちが飽きてしまいやすく、離職率が高くなる面があります。
食材を触り、包丁を使って、自分の手で作るって、面白いんですよ。その魅力が、良い人材を集めるためのPRにもなる。
自分が作ったものを、お客さまが食べてくれる。テイクアウト、ピックアップが増えてくる時代だからこそ、作り手の喜びも、大切にしたいと考えています。