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Special座談会Special座談会(前半)

Special座談会(前半)

キャンプで食べる食事の
おいしさに目覚める人がいるのはとってもよくわかります。

キャンプシーズンといえば以前は夏や秋が主流でしたが、1年を通して幅広く楽しむのが現在のキャンプの人気スタイル。
「キャンプならではのおいしいものを食べたい」と季節ごとの旬の食材をもちいて作るちょっと特別なキャンプ料理をお目当てに家族や仲間とでかけてくる方が今増えています。

  • キャンプの時間で忘れがちな感覚が刺激されていくんです
  • キャンプで食べるごはんのおいしさに目覚める人がいるのはわかる!
  • 茹でて食べられる「カルローズ」はキャンパーの救世主 !?

などなど
今回は、キャンプ料理のスペシャリスト2名にお越しいただき、「外で食べる食事はなぜおいしく、 楽しいのか?」の対談を開催。

ご出演は、国内の山や海はもちろん、海外の僻地までを旅先に選ぶアウトドア料理人の小雀陣二さんと、日本の旬の味覚を求め野山や海など国内のフィールドを飛び回るフードデザイナー蓮池陽子さんです!

キャンプの時間は「非日常」。忘れがちな感覚が刺激されていくんです

左から今回の司会役のアウトドアライター福瀧智子、料理家/フードデザイナー蓮池陽子、アウトドアコーディネーター小雀陣二
左から今回の司会役のアウトドアライター福瀧智子、料理家/フードデザイナー蓮池陽子、アウトドアコーディネーター小雀陣二
  • 福瀧キャンプやキャンプ料理をお仕事にされているおふたりに、まずお聞きしたいんですが、ズバリ「キャンプってなにがいいの?」ということ。
  • 小雀いきなり広い質問きましたね(笑)
  • 蓮池たしかに。
  • 福瀧この記事を読んでおられる人のなかには、キャンプをやったことはないけれど前から興味がある人はおられると思うんですよ。
  • 小雀なるほど……。まぁこういう仕事をしているから言うわけではないんですが、少なくともマイナスではありません。というか、むしろどんどんやってほしいと思います。
  • 福瀧そう言っていただけて、まずはよかった!
  • 小雀なぜならキャンプの時間は「非日常」だから。家となるテントを設営して、寝るためのマットや寝袋を準備し、テーブルやイスを組み立ててくつろぐためのリビングを整える。もうそれだけで何でも便利に揃う家とは違って、ひとつひとつ考えて動くことが求められますよね。普段の生活は朝起きて仕事して、子どもなら学校にいって……の繰り返しですから、やっぱり人はどこか退化してしまう。
  • 福瀧五感も使うということですか。
  • 小雀そうです。たとえば寝床の下に石があって硬いな……とか、火に近寄り過ぎたら燃えちゃうな……とか、いつの間にか風向きが変わったな……とか、普段思わないでしょ? 忘れがちな感覚が刺激されていくんです。これが脳や体の成長や発達に悪いわけがない。アウトドアで過ごすことは大人はもちろん、子どもにもとてもいい影響があると言われています。
  • 福瀧確かに、家のなかでは刺激はほとんどないかも。
  • 小雀あとは単純に、木漏れ日の下で家族で過ごしたり、焚き火を眺めながら気の置けない仲間とお酒を飲んだり、鳥のさえずりで目覚めたりするのは気持ちいいし、楽しいしですよね。
  • 蓮池それに、料理に触れる機会が家よりも多くなるのもいい影響じゃないかな。家ではだいたい奥さんや母親が食事を作ることが多いと思いますが、火を熾したり、炭火を扱ったり、重いダッチオーブン(鋳鉄製の鍋やフライパン)を持ち運んだり……。自然と父親や子どもの出番が増えると思うんですよ。
  • 小雀そうそう。家と違って、子どもは遊びの延長で楽しみながら料理にチャレンジしてくれますしね。で、包丁の使い方を誤ると手を切ったり、炭火で火の扱いを間違えばやけどをするということを知ります。そうならないために注意して道具を使って、感覚を研ぎ澄ませるんですよ。
小雀さんはアラスカなど海外から国内の海や山、川までフィールドを選ばず数多くの旅をする。どんな場面でも確実に提供されるクオリティの高いキャンプ料理の腕前は国内随一。
  • 福瀧子どもたちの真剣さや緊張感が伝わってくるようです。
  • 小雀何が危険で痛いのか、実体験を通じて知ることができる。そういうふうに、キャンプ料理を通していつの間にか危機管理能力が備わってくるんですよ。……って、いきなり話が大きいか!(笑)
  • 福瀧いえいえ! 小雀さんも、火の扱いが簡単なガスバーナーより、五感を使って工夫しながら調理する焚き火や炭火のキャンプ料理の方がお好きですよね。
  • 小雀そうですね。もちろんガスバーナーは調理のメインとなる火器だしとても便利だけど、料理にワクワクする感じがあるのは焚き火なんですよね。
  • 蓮池あ~それはわかる。ガスだとある程度自由に火加減が調整ができるけど、焚き火や炭火って環境によってどんどん火が変わってきますから。プリミティブなものを扱えるというよろこびや楽しさがあるというか……。火は人の営みの原点ですからね。
  • 福瀧おふたりとも回答がマニアック~! でも確かに、キャンプには不便がたくさんあるんですけど、その場にあるもので小さな営みを作っていく知恵と工夫の集合体とも言えますね。心地よい自然のなかでくつろぐんだけれど、適度に頭や体も使いますから、より充足感が大きいのかもしれません。

キャンプで食べるごはんのおいしさに目覚める人がいるのはわかる!

  • 福瀧キャンプ料理というと、本格的な道具や技術が必要と思われる方が多いと思いますが、最近のキャンプブームでキャンパーが楽しんでいる食事についておふたりはどう感じていますか?
  • 小雀むかしは「キャンプ料理=焼き肉スタイルのBBQ」という共通認識が日本人にはあったように思います。炭火で肉や野菜を焼いて、タレを付けて食べるというあのスタイルですね。ただ最近は炭火を使ったグリル料理や、ダッチオーブンを用いたオーブン料理など、より本格的な野外料理を楽しむ人が増えたというa印象です。
  • 蓮池慣れないことに四苦八苦されている感じではなく?
  • 小雀どうだろう。でも少しずつ手慣れた人が増えてるんじゃないかなぁ。コロナ禍の前から、民間や市町村が開催するようなキャンプ料理教室も人気があったそうですし、キャンプに行くという行為の先に「料理」の楽しみを見据えている人が増えているように感じますね。
  • 蓮池あら素敵な話。
  • 福瀧外で食事を楽しむという意識が高まっているということですかね?
  • 小雀外でごはんを食べる魅力はいっぱいあると思いますよ。だってカップ麺ひとつとっても、オフィスのデスクで食べるより近くの公園の方がおいしく感じるはずなんですよ。そこはやっぱり感覚の違い。とくに普段アウトドアへ出かけていない人は、公園はもちろんだけど、キャンプで食べる食事のおいしさに目覚める人がいるのはわかりますよね。3年続いているコロナ禍の影響も少なからずあるのだと思います。
  • 蓮池私は食事の場面で風が流れているのも大事だと思うなぁ。部屋の空気が淀んでいるわけじゃないけど、外の空気を吸いながら飲んだり食べたりすると同じものでもちょっと味わいが違う。とくにワインはそれを強く感じますね。外で飲むと香りがフワッと立ち上がるというか……。
蓮池さんは“食の物語を紡ぐこと”をテーマに、自然の知識を活かしたアウトドアクッキングや料理教室、フードコーディネートなどを手がける。「採って食べる」に目がなく、四季折々の旬を追いかけ国内を飛び回る。
  • 福瀧身近なところでいうと部屋のなかで飲むコーヒーと外で飲むコーヒー。確かに外がよりおいしく感じるかも。
  • 小雀コーヒーと言えば……。僕は夏にアラスカでお客さんを連れてカヌーで川を下りながら旅をするキャンプツアーを開催してるんですが、ある日「小雀さんの淹れるコーヒー、今まで飲んだことがないくらいめちゃくちゃおいしいです!」って言われたことがあって。それインスタントのコーヒーだったんですよ。黙ってたよね…さすがに本当のこと。
  • 福瀧それはもう野外マジックですね!(笑) だから普段食べておいしいものをキャンプで食べたら、天にも昇るシアワセな気持ちになるのもうなずけます。キャンプでお肉を焼いたときなんか盛り上がるじゃないですか。ローストビーフとかグリルチキンとか。
  • 小雀そうなんだよね~野菜料理の反応と比べるとやっぱり違う(笑)。お肉料理がテーブルにのったときのあのみんなの顔の輝きったらない。頑張って工夫していろいろ作って出さなくても、なんだかんだいって分厚い肉を焼いたり、カレーか豚汁で満足だよねって思っちゃう。
  • 蓮池そうなんですよ。こっちが飽きてるだけで、みんなは全然飽きてないんですよね。やっぱりキャンプ料理ではお肉は最強!

Special座談会(後半)はこちら

アウトドアコーディネーター 小雀陣二

Profile アウトドアコーディネーター 小雀陣二

アウトドアメーカー勤務後、広告・CMなどアウトドアに関する撮影などでアウトドアコーディネーターに。得意な料理を通じ、雑誌を中心に新しいアウトドア料理、キャンプ料理のレシピや手法を紹介。野外イベントではアウトドア料理やキャンプの講師を勤めるほか、国内外のフィールドでの経験を活かしアウトドア道具の商品企画に関わる。著書『焚き火料理の本』『山料理』(山と渓谷社)、共著『“無人地帯”の遊び方 人力移動と野営術』(グラフィック社)など。週末は不定期に神奈川県の三浦半島の突端、三崎港でカフェ「雀家」を営む。

フードデザイナー 蓮池陽子

Profile フードデザイナー 蓮池陽子

料理家/フードデザイナー。都内ビストロ勤務を経て、料理・製菓講師に。その後アウトドアでの料理や、山菜など自ら採取をする中で、おいしい物と豊かな自然が密接な関係にあると開眼。「食」のストーリーを追い求め、登山や釣りなど本格的なアウトドア活動も行なっている。著書に『簡単シェラカップレシピ』『バウルー公認! アウトドアでホットサンド』(山と渓谷社)、『うまみがギュッ! 水なし煮野菜レシピ』(TJ MOOK)など。

WEB:Atelier Story

Photo by 山本 智